きっかけ
以前から、あまりに利用者さんから好かれている状態。いわゆる「陽性転移」の状態ってちょっと怖いなと感じていて、転移ってものが起こることは知っていたのですが、なぜ起こるのか良くわからず気になっていました。
そんな中、旦那さんに勧められて読んだこの本に、「転移」の話が書いてあって、とてもわかりやすかったので、アウトプットしてみることにしました。
今回読んだ本
生き延びるためのラカン
斎藤 環
この本の内容(解説より)
哲学者の中島義道さんは解説にこう書いていました。
「日本一まともなラカン入門書」という看板を追加されたらどうだろう?
と。これは、著者が「日本一わかりやすいラカン入門書」と看板を立てていることに対して書いてあった言葉でした。
ドロドロとした部分をもつ難しいラカンの内容を、やさしく語り口調で書かれている本。これを解説者は「まともなラカン入門書」と表現されていると思いました。
幻想と現実がどんどん接近しているこの世界で、できるだけリアルに生き延びるためのラカン解説書にして精神分析入門の書とのことです。
「ラカン」って何?
「ラカン」てのは、フランスの有名な精神分析家の名前。
フロイトに影響を受けて、俺が一番(フロイトの)まともな弟子だ
と言っていた人だそうです。
この「ラカン」=ジャック・ラカンさん。
この方の書いた本や講義はむちゃくちゃ難しいとのこと。
しかーし、その内容はインパクト大でとってもファンは多く
フロイト以上にラカンの信者は多くなったそうです。
「転移」の話
この本で私が勉強になった所のひとつに、
「転移の問題」という章の、「転移」の話がありました。
「転移」はカウンセリングなどで、
患者が治療者に好感を抱くなどの感情のことで、
好意は陽性転移、嫌悪に近いと陰性転移と呼ぶものですが、
この話がとても面白かったです。
「転移」というのは、
ある種の人間関係の中で、相手に無意識の欲望が向けられ、現実化させられる現象を言うと書いてありました。(p220より)
なので、治療関係だけで起こるわけではないそうで、
人間関係の中で、
親やきょうだいとの関係を、相手を替えて繰り返しているようにみえると書いてありました。
なるほどー
どうやら親きょうだいとの感情やイメージが、
他の人間関係でも同じように出てしまうようですねぇ( ゚Д゚)
なんかそんな感情を
勝手に自分に乗せられて「転移」って形で
好かれたり、嫌われたりするの嫌だなぁ。
と思ってこの本を読んでいたところ、
次の「転移・投影・同一化」の章にこんなことが書いてありました。
彼(ラカン)によると、もはや転移抜きでは精神分析は不可能だし、転移の経験なくしては、精神分析家になることすらできない。それくらい大切な概念なんだ。
p235
と。なるほど(@_@)それだけ「転移」って大切なんですね。
本にはさらに、ラカンの言葉で
転移の大切さが書いてありました。
- 精神分析の始めにあるのは、転移である。
- 転移はつねに、分析家のさまよいと導きの機会を示す。
- 転移を支持するのは、知っていると想定される主体である。(←尊敬みたいなこと)
ちなみに…
転移をよく知るためには、転移が起こってなくちゃならないそうです。
私はこれらの話を読んで、
転移はむしろ起こらなきゃいけないぐらい重要なんだから、
転移は起きるのは良いことなのかと、安心感が出ました。
でもって、
転移を意識して介入するのは良いことで、
転移を通じて、対象者や自分の人間関係を見直せるのだ( ゚Д゚)
と思いました。
まとめ
「ラカン」は、フランスの有名な精神分析家。
この本は難しいラカンの思想を、
わかりやすく面白く書いてくれている本でした。
本には、ラカンの解説の他に精神分析についてもわかりやすく書いてあり、
そこには「転移」の話もありました。
前半のラカンの解説を読んでから、転移の話を読むと
ラカンや精神分析の話は難しいはずなのに、
何かわかったような気になれました(*´з`)
また、転移がなぜおこるのかや、転移は精神分析には不可欠なものだということを知れたので、
転移があまり怖いものだと思わなくなりました。
むしろ、むやみに怖がらず転移を意識し、自分の感情を振り返りながら関わっていきたいと思いました。
本には統合失調症などの精神疾患がどういう事態なのかを、ラカンの教えを通じて書いてくれていて、難しい話ながらもとても面白く、精神分析のことも知れました。
とっても難しいけど、ファンの多い「ラカン」のことを、わかった気になりたい方はぜひ読んでみることをおすすめします(^。^)
他にも斎藤環さんの本読んでいます。
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