今回読んだ本
解離性障害のことがよくわかる本
影の気配におびえる病
監修 柴山 雅俊
監修者紹介
柴山 雅俊(しばやま まさとし)先生
精神科医。東京女子大学教授。
東京大学医学部卒。専門は精神病理学。
虎の門病院精神科医長、東大精神科講師を経て、
現職。近年はとくに解離性障害の研究や治療に力を入れている。
この本を読んだきっかけ
訪問リハで担当している利用者さんに、解離性障害の方や、自分は解離性障害かもしれないと心配している方がいます。
字が突然書けなくなった方、突然倒れてしまう方、色々な症状が見られました。
これは解離の症状なの?とよくわからないことも多かったので、いったいどんな病気なのか改めて知りたいと思い読んでみました。
本の内容構成
- 第1章 自分を見ている自分がいる
- 第2章 こころが二つに割れてしまう病
- 第3章 「健常」から「解離」に至る原因は
- 第4章 解離症状があるこころの病気は多い
- 第5章 薬物療法と精神療法で回復を目指す
解離性障害についてわかりやすくまとめられた本です。統合失調症やうつ病と違って、どう治療するのか、不思議な病態を徹底図解し、回復に導く決定版です。
解離性障害とは
解離性障害というと、多重人格や健忘、遁走のような症状を思い浮かべる人が多いですが、解離性障害の分類では、いわゆる「その他の解離性障害」が半数以上を占めているとのこと。
ちなみに、
解離性障害は症状は、そのまぎらわしさや、解離の症状を自分から言わないことが多いことから、
診断が難しい病気とのことです。
また、
解離性障害は幻視や幻聴など、統合失調症と似た症状もありますが、脳の病気ではないそうです。
比較的若い女性に多く、20代半ばの人がピークで、30代、40代の患者さんもいますが、もっと上の年齢になると次第に数が減るそうです。
解離性障害の分類 p72
- 過敏(気配過敏・対人過敏)
- 離隔(離人症状・現実感喪失・対外離脱)
- 解離性健忘
- 解離性遁走
- 解離性同一性障害(多重人格)
- 転換症状(体の不調)→上記の症状に合わせもつことがある
解離の症状
解離の症状や体験はいずれも、程度の差はあれ、解離のない人にも当てはまるものがほとんどです。どこからが病気か、線引きはむずかしいのです。
p57
と本には書いてあり、解離の症状は誰にでも起こりうるとのこと。
解離症状の例 p57
- 想像力が豊か
- 頭の中に映像が見える
- 霊を見たことがある
- 客観的な視点を持つことがある
- デジャヴがある
- 想像上の友人がいる
- 人形やぬいぐるみを擬人化する
- 体外離脱体験がある
※上記の体験は解離性障害を示唆する解離症状のため、
日常生活に支障が出る場合は解離性障害と診断されるとのことです。
勉強になったところ
第4章の解離症状があるこころの病気は多いの章がとても勉強になりました。
私の担当している方に境界性パーソナリティ障害と診断された方がいるのですが、
その方が、自分は解離性障害かもしれないと心配されていました。(主治医には解離の話をしていますが特に診断はされていません)
この本p78には、
境界性パーソナリティー障害と解離と共通する部分があると書いてありました。
ただ、解離性障害は、パーソナリティーが障害されているわけではなく、
二つは別の病気とのこと。
自傷の意味も心性が異なっているそうです。p79
◎解離性障害の場合
→体からの解放(混乱したりもうろうとした状態のまま自傷行為に至る)
◎境界性パーソナリティー障害の場合
→「死ぬ」と周りに表明(強く激しい怒りや絶望などの感情を訴えるために「死ぬ」「死んでやる」と執拗に表明する)
これを読んで、解離と境界性パーソナリティー障害は似た部分があることを始めて知り、利用者さんが悩むのも無理ないと思いました。
まとめ
解離に似た感覚は誰にでも起こりうる体験で、それが強く出ているのが解離性障害。
解離の症状に過敏にならず、日常生活に支障が出ているかを良く聞いてあげることが大切だと思いました。
一般書で、イラストや図が多く、やさしく書いてある本なので、患者さんやご家族に説明する時にとても役に立つと思います。
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