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アルコール依存症は通院で治療することはできるのだろうか?

読書感想

この本を読んだきっかけ

このところ、勤務先の訪問看護ステーションに、アルコール依存症の方の、新規依頼が立て続けに入ってきているのですが、
入退院を繰り返していたり、入院中から再飲酒をしているといった猛者もおり、担当している看護師さんも頭を悩ませていました。
私は、アルコール依存症治療中の方を担当したことがないので、そもそも通院と訪問看護の利用で、治療はうまく行くのか?
アルコール依存症の方はどのように断酒していくのか知りたいと思い、この本を読んでみました。

今回読んだ本

新版 アルコール依存症から抜け出す本
監修 樋口 進(独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター院長)

本の内容(まえがきより)

2013年の全国調査によると、日本には、現在アルコール依存症である人および過去のどこかでアルコール依存症だった人を合計すると、推計107万人いるとのこと。
しかし、推計値の約5%の人しか、治療をうけていないそうです。
本人が問題意識をもちにくい、治療目標が本人にとって高すぎるなどから、受診や治療が続かないそうです。
治療の基本は昔もいまも「入院」し「断酒」することだそうです。
しかし最近では「通院」で「減酒」することからはじめるケースもあるとのこと。
この本は、著者が100万人の潜在的な患者さんたちの、治療への一歩を踏み出すきっかけになればと書かれた本とのことです。

この本の目次

  • 1 どこまで飲むと、アルコール依存症なのか
  • 2 依存症は酒ぐせではなく、治療の必要な病気
  • 3 家族だけで対処せず、病院などへ相談する
  • 4 断酒・減酒をめざして、治療を受ける

アルコール依存症とは

本のp28に書いてありました。

アルコール依存症とは、
お酒の飲みすぎで問題が起こっているのに、自分では飲み方をコントロールできなくなっている状態

p28より

のことをいうそうです。

3つのコントロールができないそうで、それは
「量」「時間」「状況」だそうです。

アルコール依存症には、医療的な基準があり、
依存症の専門医は、WHOの国際疾病分類ICDなど、国際的な診断基準を使ってアルコール依存症の診断をおこなっているそうです。
医療的な診断基準では、飲み方のコントロール障害やお酒中心の生活、離脱症状などが、依存症の定義として示されています。

本のp40~主な症状が5つ書いてありました。

主な症状

  1. 朝から晩まで、絶え間なく「連続飲酒」をする
  2. 明らかに飲みすぎているのに、それを「否認」する
  3. 脳機能が変化して「意識してもやめられない」状態に
  4. 飲まないと体の震えや幻覚などの「離脱症状」が出る
  5. 飲みすぎて「肝臓病などの体の病気」にかかる

アルコール依存症治療の基本

本には、p74~治療の基本が書いてありました。

治療の基本まとめてみた


① 身体的・心理的な治療を受け、断酒をめざす
<アルコール依存症の治療は大きく3段階>
1.身体的な治療
2.心理的な治療
3.アフターケア


② 基本は入院だが、通院で治せる場合もある


③ 軽症の人向けの「減酒外来」もできている


基本は入院ですよねぇ。でも、軽症なら通院もありなのですね(゜_゜>)

アルコール依存症は通院でも治療できるのか?


どうやら軽症の人であれば、通院治療もありということはわかったのですが、
軽症ってどんぐらいのもんなの?
と読み進めていると、本のp80にわかりやすいチャートがありました!
※チャートはあくまでも目安とのことです

チャートは、必要な治療法と入院・通院期間が調べられるもので、
とっても参考になりました(^^)/

チャートだと、
・依存症の軽症例
・依存症でない例(軽度の依存)
に入る人で、本人が治療に前向きな場合は、
通院のみでも断酒して完治を目指せるようです。

まとめ

アルコール依存症は、
お酒の飲み方をコントロールできなくなっている状態を言うとのこと。

治療の基本は、

身体的な治療→心理的な治療→アフターケアを入院で行っていくことが多いようです。
ただ、通院での治療できる場合や、減酒外来も増えているそうで、
治療法と入院・通院期間の目安が簡単にわかるチャートが載せてあり、わかりやすかったです。


また、本には、コラムがいくつかあり、治療につながる「ハーム・リダクション(害の削減)」の話など、とても参考になりました。


アルコール依存症のことを勉強するのに、最初に読むにはとてもわかりやすくて良い本かと思いました。
私のように精神科で働いたことがなく、アルコール依存症の方を担当したことのない方は、事例などもたくさん載っているので、ぜひ読んでみることをおすすめします。



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