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パーソナリティ障害は本人の「治したい」と、家族の対応が大切だぁ

読書感想

今回読んだ本

パーソナリティ障害

正しい知識と治し方

精神科医市橋秀夫監修

この本を読んだきっかけ

私の担当する利用者さんの中に、パーソナリティ障害の方が数人います。

主体性が出てきて、ちょっと良い方向にきているなぁと思っていても、家族などの対応で、調子が落ちてきてしまうことがあり、周囲の人の対応を、具体的にどう改善すると良いのか、またそれをどう伝えて良いのかヒントを得たくて、この本を読んでみました。

著者紹介

市橋 秀夫(いちはし・ひでお)先生

東京医科歯科大学医学部卒業、医学博士。精神保健指定医。都立松沢病院、東京都精神医学研究所兼研究員、都立墨東病院神経科医長、福島大学障害児病理教授などを歴任。

一貫して臨床実践と臨床研究に携わる。とくにパーソナリティ障害の治療では実績を上げている。

この本はどんな本か

この本には、「境界性」と「自己愛性」パーソナリティ障害を中心に、障害の特徴、背景から、回復へのヒントになるような解説がイラスト図解付きで書いてあります。

当事者が自分でできること、家族や周囲の正しい対応法などが、具体的に書いてあり、とてもわかりやすい実用的な本です。

この本の目次

  1. パーソナリティ障害について知る
  2. パーソナリティ障害の要因は何か
  3. 境界性パーソナリティ障害―「私を見捨てないで」
  4. 自己愛性パーソナリティ障害―「私をもっと賞賛して」
  5. 治すために必要なことがある

パーソナリティ障害とは

この本p12~に書いてありました。

対人関係がうまくいかず、問題が起こる

パーソナリティに著しくかたよりがあって、現実への適応性を失い、本人か他人が苦痛を感じ、生活上で大きな人間関係の不具合が持続的に生じたときに、パーソナリティ障害といいます。

p12より

ちなみにパーソナリティとは…

考え方や行動パターン全体のことだそうです。

人間はだれでも、ものの見方や反応のしかた、考え方、人とのかかわり方、ふるまい方にある程度決まったパターンがあり、その人らしさを形づくっています。それをパーソナリティと言うそうです。p10より

この本では、パーソナリティ障害をABCの3タイプに分けて解説されていました。

Aタイプ:風変わりな人(p16~)

妄想性・シゾイド・統合失調型

Bタイプ:激しい人(p18~)

境界性・自己愛性・演技性・反社会性

Cタイプ:不安な人(p20~)

回避性・依存性・強迫性

本人の「治したい!」が大切

p85~治すために必要なことがあるという章にこう書いてあります。

パーソナリティ障害を治すためにもっとも必要なものは、「治りたい」という受け身の姿勢ではなく、自分の力で「治したい」という強い気持ちです。

p86

治したい!

回復の道のりを自分で歩き出すためには、心のつらさを消したい、自分を変えたいという強い気持ちが欠かせません。治してほしいではなく、自分でなおしていこうという決心が必要とのことです。

自分の生きづらさが、自分の問題と気づけず、他人のせいにしたり、だれかに何とかしてもらおうという依存的な状態だったりすると、回復を妨げてしまうそうです。

家族の対応

この本には、「境界性パーソナリティ障害」p37と「自己愛性パーソナリティ障害」p65それぞれ、家族の対応・周囲の対応・職場の対応などをわかりやすく書いてくれています。

そして、p85~治すために必要なことがあるの章には、このようなことが書いてあります。

発症は家族関係を見直す機会ととらえる

パーソナリティ障害による問題が起こったのは、家族関係もこのままではダメというサインです。

つまり、お互いのかかわりあいを見直すチャンスでもあるのです

p92

パーソナリティ障害の本人とその家族はどこか似たところがあり、家族にもかたよりがある場合が少なくありません。

p93

といったわけで、

親子の間に適切な距離を生むことが大切とのこと

〇適度な交流

一部の家族だけに交流がかたよらず、話したり世話をしたりといったかかわりあいが適度に保たれるのが理想的。

〇お互いの世界がある程度独立している

親はお互いのグチなど、子どもに話すべきでないことをわきまえ、子どもは親に頼りすぎないようにするなど、お互いの世界を尊重するようにします。

ただ、本人がある程度の年齢に達しているのなら、家族全体の関係を見直すよりも、本人が家族から自立し、適切な距離をとるようにした方が回復が早いこともあるそうです。

まとめ

パーソナリティ障害は、受け身な姿勢の「治りたい」ではなく「治したい!」気持ちが大切。

そして、パーソナリティ障害による問題行動が起きた背景には、家族や周囲の人との関係も要因となっており、適切な距離が大切とのこと。

この本には、「境界性」「自己愛性」パーソナリティ障害について、それぞれ具体的な家族対応などがわかりやすく記載されています。

パーソナリティ障害の方や、その家族が読むと、正しい知識を手に入れられ、良い方向に進めるのではないかと思いました。

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