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精神疾患のある方の運動についての本、大切な3点まとめてみた。

訪問リハビリ

この本を読んだきっかけ

精神科訪問看護で担当する方の、作業活動の選択に、運動を選ぶことが良くあります。

ダイエットしたい。運動したいけど一人じゃできない。どんな運動をすればいいかわからない。という方は多く、一緒にストレッチやヨガ、筋トレ、ウォーキング、キャッチボールや卓球など色々な運動を取り入れています。

その際、バイタルや体調に留意して実施しており、今のところ運動によって調子を崩した方はいませんが、血圧や脈拍がもともと高い方もおり、気をつけなければいけないことがたくさん。

また、運動を漠然と行っている今日この頃、一度立ち返ってよく考えてみようと、この本を自分なりにまとめてみました。

今回読んだ本

精神科作業療法

運動ブログラム実践ガイドブック

【編集】高橋章郎 早坂友成

本の内容(編集の序より)

運動プログラムとは、単に身体を動かし、ストレスの発散や身体的耐久性の向上を目指すものではなく、運動は目的ではなくリカバリー達成のための手段であるとのこと。

この本は、リカバリー志向の精神科作業療法運動プログラムを、一貫したコンセプトとして記したものとのことです。

この本の目次

  • Ⅰ 精神科作業療法で身体性を意識する意味
  • Ⅱ 精神科作業療法における運動プログラムの位置づけ
  • Ⅲ 精神疾患と運動・生活
  • Ⅳ 運動プログラムの実践方法
  • Ⅴ 運動プログラムの実際:事例報告
  • Ⅵ 治療構造分析

運動プログラム導入に大切だと思った点3つ

① 運動の意義を忘るべからず

② 運動の効果を知っておくべし

③ 運動プログラム実践の注意点を確認すべし

この3点、以下に自分なりにまとめてみました。

運動の意義を忘るべからず

下記の文章は、忘れちゃいかんと思った文章です。

精神科作業療法で運動プログラムを導入する意義、それは単純に運動不足の解消やストレスの発散、身体的な耐久性の向上という目的だけにあるのではない。

精神障害リハビリテーションの目指すべき方向性は患者のリカバリーであり、作業療法も同じである。

p13

そして、リカバリー志向を忘れないために確認すること

をまとめました。

・利用者自身が、変化した身体や、自身の行動特性に気づく工夫はしているか?

・利用者さんの主観に耳を傾けているか

・行動変容や新たなスキル習得までの道のりを共に歩めているか

・病後の身体をも支える運動プログラムであることを忘れない

当たり前のことなのですが、

運動は、リカバリーのために導入していることを忘れちゃいけないですね( ;∀;)

長期間、繰り返していると運動自体が目的になってしまうので、気をつけようと思いました!

運動の効果を知っておくべし!

運動プログラムを導入するのに、運動の効果や利点など説明できないといけないと思いました。よって、以下にまとめてみました。

適度な運動は、気分転換や元気を出す効果をもつといった、運動が心身の健康に有用という、エビデンスはたくさんあるとのこと。

でもって、不活発が様々な疾患のリスクになっていることがわかっているそうです。

不活発でリスクが高まる疾患・状態

・全死亡率・虚血性心疾患・脳梗塞・がんの一部・うつ病・認知症・高血圧・2型糖尿病・脂質代謝異常・骨粗鬆症・肥満・メタボリックシンドローム・サルコペニア

こんなにあるのですね…。運動不足って怖い(´;ω;`)

そして運動には、生理的作用心理的効果があるそうです。

運動の生理的作用

〇筋骨格系

一般に有酸素運動は心肺持久力を高め、レジスタンス運動は骨格筋量を増加させる。

〇認知機能

運動は認知機能を改善する。6カ月~1年の中等度以上の有酸素運動トレーニングで、前頭前野や海馬の体積が増加することや、その機能が高まることが明らかになっている。

〇呼吸・循環系

身体活動には降圧作用がある。有酸素運動は収縮期血圧において約4mmhgの降圧効果がある。また、安静時心拍数の低下、一回心拍出量・最大心拍出量の増加、心拍変動の増加などをもたらす作用があり、心血管系のイベントのリスクを低減させる。

〇自律神経系

自律神経系は交感神経系と副交感神経系に大別され、ほぼすべての臓器・器官が相反性二重支配をうけている。運動時には、交感神経系の活動が強まり、副交感神経系による抑制が介助される。その結果、循環系では頻脈、血液供給の増加、皮膚・消化管の血管収縮、骨格筋の血管拡張が起こり、呼吸器系では気管支内径拡張により換気量が増え、酸素供給が増加する。逆に運動後には交感神経系の働きが低下し、副交感神経系の活動が高まるため、リラックスして休息をとりやすくなる。

〇内分泌代謝系

有酸素運動は脂質代謝を促進し、HDLコレステロールを増加、LDLコレステロール・中性脂肪を低下させることで、抗動脈硬化作用をもつ。

〇免疫系

総じて、中強度の運動は免疫機能を促進し、長期間の高強度の運動は免疫機能を抑制する。


運動の心理的効果

有酸素運動が状態不安・特性不安のいずれも減少させること、一過性の運動でも抑うつを低減させることは古くから知られている。

また、レジスタンス運動やストレッチも同様に不安・抑うつに効果的とのこと。

近年運動心理学は、不安・抑うつなどのネガティブ感情の改善だけでなく、肯定的な心理側面をとらえた研究が盛んになり、快感情やリラックス感の増加も重視されているそうです。


さて、効果などわかったところで…

プログラム導入に考慮すべき効果と利点

<作業療法の治療構造分析より>p166~

◎運動プログラムの効果

  • 気分の回復
  • 体力向上とエネルギー分配の学習
  • 生活リズムの改善
  • 非言語的交流
  • 個人と集団

◎各種目の利点

  • ストレッチ
  • トレーニング
  • 「歩く」と「走る」
  • スポーツ
  • 対戦
  • ゲーム

↑↑↑

これらの視点から、運動プログラムを考え、

利用者さんのニーズや、リカバリー志向に合うものにしていく必要があるとわかりました。

運動プログラム実践の注意点を確認すべし!

この本のプログラムの実践編を読み、注意する点をまとめました。

私の場合、訪問リハなのでちょっと端折っています…。


◎実施前準備

  • 既往歴、運動経験の把握
  • カルテ、服薬チェック、状態の把握

◎運動の導入の可否を考える

  • 主治医・ナースに確認
  • 検討ポイント⇒栄養状態、薬の副作用、身体・精神状態、天候、場所

◎リスク管理

(訪問なので道具やできることが限られるため、あらかじめ予想し、ある程度準備しておく)

  • 熱中症や外傷など

◎運動プログラム組み立て時の注意点

  • 目的を確認
  • 運動の内容、種目が合っているか
  • 運動強度は適切か
  • 休憩の有無・長さ

まとめ

今回は、作業療法に運動プログラム取り入れる際の、大切な3点ということでまとめてみました。

この本を読んで、運動の目的を忘れないようにすることは大切と、改めて認識。

運動は利用者さんのリカバリーのために実施している一つの選択肢であって、運動自体が上手になることや、ひたすら安全に継続できるように手伝っていくことが目的ではないわけで、本人のニーズに合った運動を提供できるとともに、運動をしないという選択肢もきちんと考えていけるOTになりたいと思いました。

精神科疾患の方の運動プログラムを作成する際には、とても参考になる資料がいっぱい載っています。

運動プログラムを導入に必要な情報を知りたい方は、ぜひ読んでみることをお薦めします。


他には、ヨガについての本も読んでいます。

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