今回読んだ本
「依存症」から立ち直るための本
独立行政法人大阪府立病院機構
大阪精神医療センター 編
この本を読んだきっかけ
利用者さんの中で、スマホから離れられない方、お金がないのに買い物ばかりしてしまう方、旦那さんがアルコール依存症で、その夫を責めてしまう方がいました。
依存症について、よくわからないことも多いので、依存症の方やその家族への支援のヒントがほしいと思い、この本を読んでみました。
本の紹介
依存症医療拠点機関として依存症の治療に取り組んでいる“大阪精神医療センター”が編集した本。
依存症という病気について、症状や診断、社会復帰のための治療法やプログラム、回復までの過程について解説されています。
病気についての正しい知識と必要な支援について知ることで、少しでも回復が進み、依存対象を必要としない生活を送れる人が増えるよう書かれた本です。
この本の目次
- はじめに
- 第1章 仕事、人間関係、子育てのちょっとしたつまずきが…「依存症」は誰でもなる可能性がある病気
- 第2章 そもそも「依存症」とは?趣味との決定的な違いは「自己制御」ができるかどうか
- 第3章 小さなことからコツコツと―ゆっくり確実に回復を目指す「治療」と「回復プログラム」
- 第4章 再発の壁を乗り越えるために 家族や社会のサポートを得ながら社会復帰を目指す
- おわりに
依存症とは
この本の第2章に書いてあります。p34~
依存症とは「自分でコントロールができなくなる」病気
とのこと。
依存とは、特に脳の機能に変化を来すことで、簡単にいえばアルコールや薬物の摂取、あるいはギャンブルや買い物などがコントロールできなくなってしまう状態です。
遺伝、体質、家庭環境、ストレス…依存症の原因はさまざま
とのこと。
依存症の種類
依存症には、3つの分類があるそうです。
ただ、あらゆる物事が依存の対象になりうるため、必ずしも明確に3つに分類できないものや、依存症には分類されていないが疑わしいものもあるそうです。
依存症の3つの分類
・物質依存症→たばこ・お酒・ドラックなど
・プロセス依存症→ギャンブル・買い物・インターネットなど
・関係依存症(共依存症)→恋愛・DVなど
ちなみに物質依存のメカニズムはかなり分かってきたそうですが、プロセス依存や共依存についてはまだまだ分からないことも多いそうです。
どこからが依存症?
この本のp26~このように書いてありました。
「依存症」とそうでない人を峻別することは難しく、日常生活に支障がでるような状態とのこと。
お酒が好きな人がすべてアルコール依存症になっているわけではありません。薬物にしても、違法な薬物に手を出した人が全員依存症になるわけではありせん。ギャンブルもそうです。お小遣いの範囲で、適当に遊んでいる人は大勢いるでしょう。
しかし、そのように適度に済ませることのできない人たちもまた、決して少なくありません。いずれの依存症においても、普通に暮らしていた人たちが急に陥ってしまうケースがあるのです。
依存症はなおるの?
これについてはp85~くわしく書かれていました。
依存症は「治癒」するものではなく「回復」するものとのこと。
依存症にとっての「治癒」とは、アルコールにしても薬物にしても、あるいはギャンブルにしても、依存対象に左右されることなく生活を送れることです。
ちなみに…
回復は本人が「依存症」であることに気づくことから始まる
そうです。
そして、「早期発見」「早期治療」が大切とのことでした。
また、
本人の覚悟だけでは依存症から回復することはとても難しく、家族や友人など、周りの支援が必要となってきます。
回復とは、ほかの病気やケガのように、以前の健康体に戻ることではありません。むしろ、新しい自分として生き直すことだと言えます。
これらの回復に大切なことが書いてありました。
まとめ
依存症は正しい知識と適切な支援で回復できる病気とのことです。
この本に、まさにその知識と、支援の内容が書いてあります。
世の「依存症」へのイメージはまだまだ悪く、依存症が「病気」であることを、私も広めていかなくてはと思いました。
事例もたくさん載っていて、とてもわかりやすく書かれているので、依存症の当事者だけでなく、家族など周りの方の理解を深めるためにおすすめできる本だと思いました。
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